石橋縁側の可能性を探る勉強会「ストリートファイト!」

 

 
石橋縁側の未来像を参加者と描くために

石橋駅西口の店舗前にテラス席を設置した「しもつけしき 石橋縁側」が2020年10月~11月の期間限定で始まりました。

みなさんは、お試しになりましたでしょうか。

石橋縁側の目的は、「新型コロナウイルス感染拡大防止」と「地域の賑わい創出」です。
3密を避け、外で飲食を楽しむと同時に、公共空間活用の可能性が広がっています。

そんな中、石橋のまちが賑わう一つの手段として、より多くの人に公共空間を利用してもらうにはどうしたら良いのでしょうか。

2020年10月16日に、JR石橋駅西口前にある「石橋駅前コミュニティセンター」の屋外スペースを会場で、全国各地や世界のストリートの活用事例を学び、公共空間の可能性を模索する勉強会を開催したので、その時の様子をお伝えします。

お話をしていただいたのは、国土交通省の「今 佐和子」さんです。

今さんは、大学卒業後に民間IT企業に就職。その後、まちづくりへの興味から国土交通省に入省し、街路空間の再構築や利活用に携わってきました。現在は小山市に住んでおり、「まちなかの道は安全で心地良いものであって欲しい」という想いを抱き、活動されています。

それでは、開催の様子を振り返ります。

 

ロードとストリートの違い

戦後、日本の道は、自動車交通量をもとに物流に特化して作られてきました。都市と都市の間を結ぶ道「ロード」も、都市の中の街路「ストリート」も、どちらもです。ですが、バイパス道路の整備や人口減少により、都市内部のストリートの交通量は減少傾向にあります。

それに伴い、街路空間を上手く活用するための動きが生まれ、人中心の道へと転換しつつあるようです。

例えば、東京・丸の内では、お昼時になると街路に机と椅子が準備され、オフィスワーカーや訪れた人が、食事やくつろぐための空間が作られています。また大阪の御堂筋では、8車線ある道の側道2車線を歩道にする工事が進んでいます。将来的には全面歩行空間化したいそうです。

大都市だけでなく、愛媛県松山市のような地方都市でも、「広場を兼ね備えた歩道」をコンセプトに、車線を減らし、憩いの空間、豊かな日常のワンシーンを作り出しています。

 

世界の活用事例からストリートの在り方を考える

続いて、世界の都市に目を向けて、活用事例を紹介していただきました。

パリのセーヌ川のほとりでは、夏休みの2ヵ月間、高速道路を封鎖して歩行者空間化する「パリ・プラージュ」が実施されています。この取り組みは、遠方までバカンスにいけない人のために、セーヌ川を見てバカンス気分を味わってもらうために始まりました。

フランスの地方都市ストラスブールは、フランスの中でも一早く脱車社会に動き出しており、街中の中心では、公共交通と歩行者しか入れないような空間が作られ、一本入った裏路地はオープンカフェとなっています。

さらに、スウェーデンのストックホルムは、歩行者中心の都市「ウォーカブルシティ」を都市の総合計画のタイトルにしているほどです。

このように、世界の都市では、日本よりもストリートの活用が進んでいるようです。
ところで、日本を含めた世界各国でストリートを活用する動きがあるのは、どうしてでしょうか。

それは、街路は「誰でもアクセスできる最も基礎的な公共空間」であるからです。都市の本質は、人との交流にあります。それができる一番大切な場所が街路なのにすれ違っても挨拶すらできない「車」に占領されていててはもったいないですよね。

また、これからの街路の在り方を考える懇談会で聞いた、「次の世代がいなくならないためにも、まちなかこそ良い空間であるべきだ」という言葉が印象深く残っているそうです。

「街中は危なくて暮らせない! という認識が広まると、子どもたちが街中に来なくなってしまう。そうなると、子どもたちが育つ過程の中で、まちへの愛着が生まれにくくなります。やっぱり、居心地が良くて歩きたくなるような、ウォーカブルなまちづくりが大事だと思います」

子どもが生まれてからは、特にストリートに使命感を抱き始めたとのこと。またウォーカブルと公共交通はセットで考えて、「誰もが移動できるまち」であることも重要だと言います。

 

試行錯誤の先にストリートの未来が見えてくる

人口が右肩上がりに増えていた時代は、公園や広場を作れば使われる流れがありました。
しかし、人口が減少してくると、そう簡単には事が進んでいきません。

小山市でも2年程前から小山駅西口の祇園城通りにテラス席を設置していますが、通り全体に定着するまでには至っていないとのこと。また、地元の人にとっては、テラス席に座ることへの抵抗感がある人もいるようです。

「まずは軒先を2~3日使ってみるといった、簡単にできることからやってみる。次第に数週間、数ヶ月と徐々に期間や使用用途を広げて、まちの人が街路を使うことに慣れていけるように段階を踏んでいく。試行錯誤を楽しんで、使いながら作っていくことを意識していきたいですね」

公共空間の活用は簡単なことではないが、長い目線で取り組み、未来に繋げていく姿勢が大切なのだと思います。

 

最後に

最後に、感想や、公共空間を活用した妄想を全体で共有しました。

「石橋駅は素敵な駅だと言われるけど、あまり認知されていません。今日の話を聞いて、駅に人が来る目的を作ることが必要だと思いました」

「フォトブースや食べ歩きなど、意外と若者は外の活用に慣れている気がします。若者視点で公共空間の活用を考えてみるのもよさそう」

「アウトドア用の椅子を持って、まちなかで座ってみたい!」
「これから寒い季節になるので、外でコタツを楽しみたい!」

この他にも様々な感想や妄想をいただきました!
「石橋縁側」は、様々な方々がアイディアを出しあって実現した取り組みの一つになります。これを続けていくことで、良いアイディアが集まり、色々な取り組みに繋がっていく予感がします。

今さんのお話にもあったように、「計画してからつくる」のではなく、「使いながらつくっていくこと」が大切だと思います。
10月から始まった「シモツケ大学」のプログラムと組み合わせながら、少しずつ公共空間に親しみを感じ、皆さんで可能性を広げていきましょう!

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