こんにちは!レポーターの永山です。
春を感じる瞬間が増えましたね。こたつからそろそろ出てもいいかなぁ…なんてこたつに入りながら思っています。
新しい春が訪れつつある2024年3月7日、シモツケ大学では「下野市のこれからの可能性や私たちにできるアクションを楽しく考える時間でまちづくりを楽しもう!〜広場や公園を使い倒したらおもしろい〜」と題して、下野市のこれからの可能性や私たちにできるアクションを楽しく考えるトークイベントを開催しました。満員御礼の大盛況となった今回のイベントにお招きしたゲストは、株式会社グランドレベル代表取締役社長・田中元子(たなか・もとこ)さん!
それでは!イベントの様子をお届けします。(田中さんの紹介はこちら)
日々、目に焼き付ける風景が「街」になっていく
田中さんは現在、株式会社グランドレベルの代表取締役社長として、「1階づくりはまちづくり」をモットーに、空間デザイン・まちづくり・ブランディングなどを手がけています。
そんな田中さんですが、茨城県の実家を出て上京した20代のころは、夢ややりたいこともなくその日暮らしの生活をしていたそうです。それでも、楽しくたんたんと幸せに生きられると悟ったのもこのころでした。
東京の街を歩いて、田中さんは様々な人を見かけたそうです。地方とは違い、そのすべての人たちが好き勝手な生き方をしていて、そのすべての人たちが、他人がどんな生き方をしているかについて干渉するわけでもなく、「諦めて」生きているように見えたといいます。それは一見、「多様性を受け入れている」ようにも思えます。しかし、東京で生活をしてみると、多様性を受け入れるということはそんなに仰々しいものではないのではないかと田中さんは気づいたそうです。
その後、たまたま手にした建築の本をきっかけに田中さんは建築の道へと進んでいきました。
建築に携わりながら、田中さんは、1階の重要性に気づき始めました。どんなに高く美しい建物があったとしても、普段、私たちが目にするのは「1階の風景」だからです。無意識下で目に焼き付ける風景が、人々が楽しそうに過ごしている様子であれば、自分自身も幸福を感じることができて、総じて世界平和への第一歩になるのだと田中さんは話します。
田中さんが趣味として「まちなかでコーヒーを無料で振る舞う行為」を始めたとき、屋台に寄ってくる人もいれば通り過ぎる人もいて、様々な反応を見ることがとても楽しかったそうです。この趣味を通して田中さんは、どんな人にでも均等に開かれた場所、すなわち「勝手な公共」を街に提供している感覚になったといいます。
こうした経験から田中さんは「公共=パブリックは、自分のためだけでもなく、家族や友人のためだけでもなく、不特定多数の第三者と接点を持つ可能性」だと考えているそうです。
どんな公共空間でも、そこに何もなければ、真っ白いキャンバスを「自由に使って!」と言われて困ってしまうのと同じように、使い方が分からず結局使われなくなってしまう可能性があります。公共空間が使われるためには、それを使ってもらいたい立場の人たちが「補助線」を引くことが必要だと田中さんは言います。
筆者は、田中さんの発する言葉1つ1つが、「まちづくり」や「まちのにぎわい」についてのモヤモヤを言語化してくださったような感覚になり、とても腹落ちした気持ちになりました。会場にいた参加者のみなさんも、食い入るように田中さんのお話を聞いていて、会場が1つになっているような高い熱量を感じました。
目的は公共空間を「使う」ことではない!
トークセッションでは、田中さんとともに、下野市からは一般社団法人シモツケクリエイティブ 代表理事の山口貴明(やまぐち・たかあき)さんとシモツケ大学の鈴木祐磨(すずき・ゆうま)さんが登壇し、下野市の公共空間である「石橋にぎわい広場」の活用について対談しました。
山口さんと鈴木さんの、「もともと街の中心だった場所が石橋にぎわい広場になったが、活用の目的がなく、空地のようになっている。企画をしても後片付けをしなければならず、その跡形を残せないことが悲しい」「広場を今後どのように活用していくのがにぎわいに繋がるのか悩ましい」という発言に対し、田中さんは「どうやって広場を活用するかではなく、まずやりたいことが生まれて、そこで広場を活用するのが自然な流れなのではないか」と答えました。
毎日誰かが石橋にぎわい広場で楽しくだらしなく遊ぶことが街の「風景」になり、それが地域住民にとっての「補助線」になり、人が集まり会話が生まれ、やりたいことが生まれて広場が使われていくのではないか、と田中さんは言います。
トークセッション中には参加者からの質問に田中さんが答えるシーンもあり、時間の許す限り質問に答えてくださいました。
田中さんから、にぎわい広場を会場にして「広場サミット」をする提案がありました。広場サミット、とっても盛り上がりそうですね!
属人的で土着的で連続性がないことは「サイコー」
田中さんの活動は、「田中さんだから」「この場所だから」「一度だけだから」できることと言われることがあるそうです。それに対し、田中さんはこう言います。
【属人的であること・土着的であること・連続性がないことは「サイコー」】だと。
筆者はこの言葉がとても印象に残っています。考えてみれば確かにそうで、「下野市だからこそ、下野市に関心がある人たちだからこそできることがある」のだと改めて気づくことができました。
シモツケ大学の活動に少しでも興味がある方!下野市というこの場所で「なにかをやりたい」あなた!わたしたちシモツケ大学は、あなたがやってみたい様々なことにチャレンジできる環境作りのお手伝いをします!少しでも気になる活動があったらぜひ足を運んでみてくださいね〜!
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